父さんへ      


父さん、

 父さんは、いつもニコニコ笑っていたよね。
 そんな父さんだけど、私は三度、父さんの涙を見ました。

一度目は、

 父さんが母さんの病気のことを語った時。
       「 母さんは・・・癌だ・・・。もう治る見込みはない。」と、
 私の前で、大きな肩をふるわせて泣きました。

二度目は、

 私の結婚式の時。
 父さんは、私の手をひいて入場して、夫に私を引き渡しました。
 「頼んだよ!」と夫の肩をたたいた父さんの目が、真っ赤でした。

そして、三度目は、

 2014年4月10日。

 もう意識がなかったはずなのに、私の呼びかけに応え、
 父さんは、一筋の涙を流したのです。
 まるで、「幸せだったよ。」と言っているかのように・・・・。

父さんは、いつも、

 優しかった。
          穏やかだった。
                     温かかった。

ありがとう、

 本物の「優しさ」「穏やかさ」「温かさ」を教えてくれて・・・・。
 それを、受け継ぐことができれば・・・・。
                      ありがとう。安らかに・・・・・。